メタルラッツマーケットリサーチ株式会社
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調査精度とは得られた結果の確かさ、つまり調査の信頼性そのものです。 よって調査を設計する場合、調査精度に影響を与える要因を十分に理解することが不可欠です。
調査精度を決める最も基本的な要因は前述のサンプリング方法、サンプル数、そして回収率です。 (厳密に言えば「回収率が100%でないと統計的に意味をもたない」ということが言えます)
理想を言えば、単純無作為抽出あるいは系統抽出で層化した大サンプルの調査で 100%の回収率を達成できれば最高の精度の調査といえます。
しかし、これではかかる費用や労力は膨大なものとなってしまいます。 また、すべての調査が最大限の精度を要求するわけではなく、 費用・スケジュールに制約のあるマーケティングのための調査ではモアベターを目指す、 つまり限られた条件の中で最良の精度を求めることが現実的です。
まずは、限られた条件の中で最良のサンプリング法、最大のサンプル数、 最高の回収率を達成するための工夫が必要です。 調査対象の性別・年令層の構成比が既知の場合は少なくとも 層化抽出が必須条件であるといえます。
たとえ聞きたい内容が同じでも、質問文が不適当では正確な回答は得られません。 特に注意すべきなのは誘導的な質問文、あいまいな質問文、難解な質問文、不適切な選択肢、 対象者に理解できない専門用語の使用、などがあげられます。
また、多すぎる質問も精度に影響を与えます。質問量が多いと対象者が飽きたり疲れてしまい、 無回答が増えたり、回収率が低下することになります。 回答者に質問を読んでもらい、自身で記入してもらう自記式調査の場合には、レイアウトや、 回答のしやすさなどにも十分な注意を払うことが必要です。
全体の構成にもよりますが、 弊社の経験則ではSAの場合は選択肢を横にならべる、MAは選択肢を縦にならべるほうが、 対象者にとって目の動き、手の動きが少なくてすみ、楽に回答できるようです。 調査票を作成するにあたっては、知りたいことを最大限に正確に対象者に伝えること、 そして対象者に負担をかけず正確に回答してもらえる環境を作り出すことに注意を払わなければなりません。
実査を行う調査員の質がわるければ良い調査はできません。 信頼性のあるデータを安定的に得るために優秀な調査員は不可欠です。 そのため各調査会社は優秀な調査員を育成・維持することに大きな労力と時間を割いています。 実際に調査を実施するとき、小規模なものでも5~6人の調査員が1つの調査に関わります。 訪問面接、電話法など数十人の調査員が1つの調査に関わることも少なくありません。
このようなとき、協力依頼や質問の読み方、対象者からの質問への回答法などについて、 全調査員が完全に統一されていなければ精度の高い調査はできません。 そのため、個々の調査について十分な事前のインストラクションとロープレなどによる訓練、 マニュアルなどによる実査ルールの明確化が必要です。
アンケートの対象者は「好意」で回答してくれています。感謝の念を忘れず調査にあたって下さい。
対象者の表情が見えないように、インタビュアーの表情も相手にはわかりません。「声」だけが相手とのつながりになります。調査にあたっては話し方、声の大きさ、声の表情に注意して下さい。
※ゆっくり話す※はっきり、言葉にメリハリをつける
インタビュアーは何回も同じ質問を繰り返しているので慣れてきますが、対象者にとっては質問を聞くのは初めてです。急いで質問をしたり、矢継ぎ早の質問は避けてください。また、対象者に質問の内容が正確に伝わるよう、はっきり、言葉にメリハリをつけて話してください。
必要なとき意外は声の強弱はあまりつけず、一定の強さで話してください。声は大きすぎないよう、普通の大きさで話してください。受話器と口の間は握りこぶし1個程度離して下さい。(電話調査の場合)
明るい表情・明るい声で調査を行ってください。(過度にならぬ程度) 「正しい質問」「正しい記録」 正しい質問・正しい記録をすることは、調査を正確に行う為に非常に大切な点です。以下の点に充分注意して下さい。
事前に調査の流れを頭に入れ、スムーズに調査ができるようにしておいてください。特に質問から次の質問へ移るとき、間を置きすぎると対象者が集中力を欠いたり、質問に関連のない発言が出たりして調査結果に影響を与えます。
調査に入る前、「ごあいさつ」で必ず調査を実施している会社名(メタルラッツマーケットリサーチ)調査員の名前、調査の目的を話して下さい。また、得られた情報はすべて統計的に処理され、外部に対象者の個人情報が漏れたり、販売や勧誘は絶対に無い事を伝えてください。
必ず調査票に書かれている通りの言葉で質問してください。つまり、質問する際は印刷された調査票の質問文を一字一句正確に読み上げるようにして下さい。しかし、質問文を丸暗記する必要はありません。むしろこれは記憶違いや度忘れすることがあるので不適当です。
調査は複数の調査員がインタビューを行います。従って調査員全員が同じ質問、同じ言葉で表現しないと調査の統一がとれません。このことは、文章のどの部分を強調するか(言葉に強さをおくか)という点についても同様です。
強めてはっきり言う言葉には下線が引いてありますので、その部分の言葉を強めて質問してください。間違った言葉を強めると、質問自体の意味を変えてしまうことがありますので特に注意して下さい。(強さについてはロープレ実施時に指導があります。)
いかなる場合も質問の言葉をかえてはいけません。対象者が質問の意味を理解しない場合は、質問の言葉を変えないでゆっくりと質問を繰り返してください。また、対象者が質問の意味を取り違えていると思われた場合も、質問の言葉は変えないで、ゆっくりと質問を繰り返し、対象者に質問の意味を理解してもらってください。
最後まで対象者に質問の意図が伝わらなかった場合、直ちに担当ディレクターにその旨を報告してください。
回答が出にくいと、つい例をあげて回答を導こうとしてしまいがちになります。こうするとその例が印象に残り、対象者が無意識にその例にあがった回答をしてしまうことが多くなり、正確な調査となりません。
また、インタビュアー自身の考えや、「先に伺った方は…とおっしゃってましたが…」といった情報を与えてはいけません。他人の情報に影響されて対象者自身の回答が出なくなります。
調査員が同意、不承知、驚きなど自分自身の気持ちを表してしまうと対象者の回答内容に影響を与え、正確な調査となりません。対象者が言った回答に対して、同意・不承知・驚き、その他いかなる感情も表さないようにして下さい。
自由回答の質問では文章による回答がなされます。この内容を確認するとき、対象者の言葉を復唱すると、もし間違っていても言い直すのが面倒なため「そうです」と言ってしまう対象者もいます。
回答された言葉を不必要に繰り返さず、聞き取りにくい場合は「もう一度おっしゃって下さい」と言って対象者から聞き出して下さい。
自由回答以外の質問を確認するときは必ず「○○ですか?」と言って下さい。絶対に「○○ですね」と言ってはいけません。(押し付けになる危険)
選択肢のある質問の回答は必ず選択肢の中から選んでもらって下さい。例えば、満足度について5段階評価で回答してもらう質問(非常に満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、非常に不満)で「まあまあ満足している」といった回答が出た場合、絶対に調査員が判断せず、もういちど選択肢を読み上げ、必ず選択肢の中から選んでもらってください。
調査の中では5段階評価(ex.非常に満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、非常に不満)など、同じ選択肢の言葉が何回も出てくる場合があります。このような場合、調査員が選択肢を読み上げる前に、対象者が「非常に満足!」などと回答してしまう場合がありますが、このような場合も「これから読み上げる言葉の中からお選び下さい」と言って必ずすべての選択肢を読み上げてください。
質問の順番は、ある質問が別な質問の回答に影響を与えないように設計されています。質問は必ず調査票に書かれた順番どおり行い、原則的に質問を戻つたりしないで下さい。
対象者から「さっきの質問はやっぱりこうだった」などと回答の変更があった場合、その内容は余白に記録し、最初の回答を消したりしないようにして下さい。また、このようなことが発生したことを必ず担当ディレクターに報告してください。
対象者の表現を変えたり、省略して記録してはならない。回答された順番に、そのまますべて記録する。記録が追いつかない場合、対象者に「今、記録しておりますので」と言ってゆっくり話してもらい、正確に記録する。あいまいな回答は追及して具体的にする。(案件別OA追求マニュアル参照)
無作為に抽出されたサンプルには代理人の回答を認めない。(サンプリング信頼性の維持)対象となった家庭が不在の場合も時間を変え最低3回訪問する。(回収率の向上、バイアス排除)
代表性が低いことを念頭に入れておく一般に郵送法は回収率が低い(20~30%程度)調査テーマに関心がある人のみが回答する傾向がある。
電話をかける時間帯に配慮し回答者の偏りを防ぐ選択肢のローテーションで偏りを防ぐ短時間で簡潔な調査設計を行う
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